大阪都構想住民投票告示を受けて
- 日本若者党代表 桜井悟
- 2015年5月10日
- 読了時間: 3分
1、大阪の地域政党「大阪維新の会」が提案する「大阪都構想」実現に向けて、大阪市民の賛否を問う住民投票が4月27日告示された。5月17日投開票。
2、大阪市の橋下徹市長は、「大阪府と大阪市の二重行政の解消」を目的に、現在の大阪市を解体し、現在ある24の区を廃止し、新たに5つの区へ再編する構想を掲げている。これに対し自民党はじめ、(大阪における)多くの野党勢力が反対を表明している。
3、日本若者党は、橋下市長はじめ維新勢力の「大阪市役所は腐りきっている。だから一度ぶっ壊すべきだ」というような乱暴な議論には与せず、大阪市民による冷静な判断を求める。
確かに、現在の大阪市役所は多くの問題を抱えており、また大阪府との間での二重行政の問題は、市民・府民の税金の浪費を防止する観点から、何らかの改革が行われるべきである。しかし、その答えは都構想以外にもあるはずだ。たとえば大阪自民党は「大阪戦略調整会議」の設置を提案し、二重行政の解消を目指すとしている。大阪都構想のような派手さはなくとも、こういった地道な努力によって二重行政を解消する手立てもあるのではないか。
大阪都構想は、実現するだけでも莫大な額の税金を浪費するというのに、いまだにその経済効果すら不透明である。
4、橋下氏および維新勢力の政治手法は、一言でいえばポピュリズムである。敵を作っては派手に、わかりやすく攻撃し、敵を悪魔化し、自らの正当性をアピールする。かつて小泉純一郎首相が、郵政民営化に反対する勢力を「抵抗勢力」として激しく攻撃し、国民の熱狂的な支持を集めた構図が、いまそのまま大阪で再現されている。小泉改革がその後どういう帰結をたどったかは、ここに記述するまでもない。国民が、派手なパフォーマンスをする政治指導者に惑わされ、誤った選択をすることは、歴史上何度も繰り返されてきた。民主主義は当然、擁護されるべきであるが、民衆の判断が常に正しいとは限らないことは言うまでもない。また、何度間違えても、民衆は反省しないものであることも、歴史上何度も指摘されてきたとおりだ。
事実上、大阪維新の会の政治的綱領である「大阪維新」(角川SSC新書、上山信一)には、このような記述がある。
「(反対派の意見をうけて)しかし、大阪の現行制度は東京よりも明らかに遅れています。いったんはまず、東京都型の体制に移行すべきです。理想を求めるのはそれからでいいのです。」(168ページ)
ここに、維新勢力の性格がよく表れているように思う。とにかく壊すことが大事だ、後のことはそれから考えればよい、と。なんという適当さ。なんという無責任さ。そして、いつの時代も、民衆はこのような言葉にいとも簡単に騙されてしまう。
5、日本若者党は、ポピュリストの正体を正しく見抜き、彼らの甘い言葉に騙されず、冷静な頭で、いま本当に大切なことは何か、ほんとうに大阪を救う道はどこにあるのか、大阪市民の冷静な判断を求める。大阪都構想は大阪だけの問題ではなく、日本全体の問題である。
以上
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